[談話スペースへ続く廊下の途中で、白薔薇はあの若者の姿を見つけました。
先程の服装とは異なり浴衣姿でしたが、その横顔と、人間としての気配のような何かで、すぐにあの若者なのだと白薔薇には感じられました。
ですがその人は、「著名人に偶然遭遇してしまった一般人」らしい驚きとはおそらく異なる形で、まるでただならぬ様相で廊下を走っていたのです。>>31>>33>>34
白薔薇は、迅速には動けません。だからすぐに相手に声を掛けて引き留めることができませんでした。
それでも、歩み遅くとも、その人の跡を追うことはできました。]