[夜が来ると、人はすやすや眠るものだ。
暮れないはずの朝が暮れていく。夜が来たことを証明する血の海の中で、一人だけ息をする。
倒れる直前にフットマンが自身に打ち込んだのは、メトロポリスの人体修復薬だった。
だけど、フットマンの手に渡っている以上、それは未だモルモットを必要とするモノだ。
傷口をある程度は塞いでくれる──本当に塞いでくれるだけ──の液体は、副作用として接種者を深い眠りに陥れる。
寝てる間に修復しますからね──といったもんだ。
失血した分は返らないので、そこは留意してほしい。主にフットマンが。]