メンテナンスゾーンへと入るため、虹彩認証システムへアクセスする。
『認証成功。お入りください。』
機械音声が流れるとともに、扉が開く。
今日取得したパーツたちを、メンテナンスシステムの近くへ置き、先に通信用端末のスリープを解除する。
ほどなく、『メール受信:0件』の無機質な文字が、液晶ディスプレイに表示された。
外部とのネットワークは生きているはずだが、最近は無作為に送信されているであろう、「広告」メールらしきものすら届かない。
彼女が目醒めた直後は、随分と沢山のメールが届いていたというのに。……あまりに大量だったため、内容に目を通したことはなかったのだけど。
件名から推察するに、この施設の安否を問うものが、それなりに多かったように思う。