[フットマンは最初、来訪者>>38に気付かなかった。いや、起きなかった、と言った方が正しいかな。「ごきげんよう」「死んじゃった?」>>38そう尋ねる彼女に返るものがあったとしたら、こんな惨状の中で暢気に眠りこける男の寝息だろう。見ている者がいない真っ赤なステージで、たった一人、少女が踊っている>>39。赤い軌跡を描いて、つまらなさそうにくるくる回る。だけど、それはフットマンの近くでぴたりと止まって──。]