夜雀亭裏の宿舎・闖入者
[表通りは平和そのもの、裏の事情など知らず呑気に時間が流れてゆく。
単独陣営というのは、そして表社会で生きるというのは、そういった情報が流れてくるのが遅れるということで。
何も知らず宿舎で体を休めるアリシア。
しかし妙な胸騒ぎを覚え、気まぐれに
機械の腕を身に付けたまま窓から月を見ていた。
数日前に老婆から受け取った懐中時計はその用途通り、懐に。あれ以来、不安や恐怖といったような感情に襲われる夜もあったが、その音を聞いていると少しだけ心が落ち着くような気がした。
巨腕で慎重につまんで針を見る。
私を置いて時が流れていく。
小さな組織から探っていき、いざ本命をと目論んだ道に変わり者。気が抜けたし調べるのはまた明日にすればいい、という甘い見通しが甘すぎたことを知るまでもう少し。]