[狙うは首元もしくは、的の大きい胴。
自分は生粋のガンナーでは無く、どちらかと言えばアサシン寄り。故にヘッドショットは期待していない。
それでも近距離であればある程度の融通は利くし、マグナム実包なら唯の弾傷では済まないだろう。
時に腕で、銃で相手の武器を跳ねのけ、鍔迫り合いと弾き、近接格闘術も交えながら敵陣の中を走り、舞う殺陣が如く歩き、障害物の上を駆けあがり、血だまりを作り上げる。
自分は、クラッカーとしての腕だけで幹部に上り詰めた訳では無い。
戦闘特化組織の中でも十分と立ち回れる戦闘力。それを長年維持したまま『椅子』に座り続けて居る。
怯え腰を抜かしたものは捨て置き、軽傷重症問わず負傷者を追加。同胞の手当をと武器を手放す救護者人員をあえて増やし、全体の士気を大きく削り取る。
アドレナリンの放出に身を任せトリガーを引き、弾倉がカラになれば器用に空中で再装填。
無論こちらも生身のパーツが残る身、相手の銃弾が当たれば抉れた箇所から血が滲み、赤い外套が暗色へと染まる。
だが、それがどうした?
男はまるで痛みを忘れたかのように、暗い笑みを浮かべる。]