[「纏まりません」だなんて言葉で締め括られていたそれらの話は、紛れもなく“ 演者 ”の方を向いて語られたもの。 “ 貴方 ”と呼ばれたこの代役は、堪えきれずに声を上げて泣いた。 さまざまなものがない交ぜになった嗚咽の中に、けれど、苛まれる苦しみはなかった。 この夜には、抱えた想いも伝えたい感謝も、上手く言葉にして纏めることができなかった。 けれども、せめていち早く伝えたいことだけは――。 その言葉を手紙に載せて、ポストに入れて宙に送り出す。]