ー 初夏・ケンくんと ー
ん?俺?
つかあんたって。別にいーけどね。
[>>13 ケンのあんた呼びに飯島は思わず苦笑する。
敬語を使わなくても態度がフランクでも、特に気にするタイプではないが、あんたと呼ばれることは殆どないので少し動揺した素振りを見せた。
それがケンの自然体だと分かっているので気を悪くすることはないが、なんか渋いよな、ケンくんって。というような言葉は零した。
受ける印象が歳に似合わず男前な感じなのだ。それが少し気になる。自分とは、やはり印象が全然違うから。
それは置いといて、ケンに言われたことに思考を巡らせる。
そんなに時間をかけずに、答えを導き出せた。]
まー、落ち込むよね。落ち込む。多分。
美化委員って、季節ごとに花植えたり世話したりするんだけどさ。
全部一年草で、種取ってまた育てよう!とかないんだよね。
切り花にしたら、新しい種を買ってきて撒くのが普通。
それをこうして種作るまで世話してるんだから、未練はあるよね。
[萎れかけた花の下には、膨らんだ実がついている。それを見ながら、飯島は続ける。]