……おいしい。
[ぽつりと呟いて、二口、三口とゆっくりと進める。
進める度に、身体が温まっていくような心地がして、少し泣きたいような気分になった。
飲み干してしまうのが勿体ないような気がするが、残すのも失礼だと、最後の一口を口にする。
美味しいスープを口にしたからか、もう少し何かを食べたいという気持ちが湧いてきた。
他の客達は何を頼んでいるだろうか。
そっと気にしつつ、何を食べたいかと考えを巡らせる。
けれどその思考はすぐに中断した。
スープを飲んで食欲が刺激されたのか、腹の音が鳴ったからだ。]