『……っ…ゲフ…コホッ…ゴ、ポッ』
大波が来たとき
咄嗟に鞄を抱えて護っていた泥の男は、
自分の体内に入ってこようとした
水たちを弾くのに精一杯で
それが引いていった後も
しばらくはゲホゲホと咳き込んでいた。
■の中に入ってこないで
■は■なのだから 清い水にはなれないのだから
……ぐるり、眼球だけ回すようにして
小瓶の輝きを見つけ出す。
………のた、のた。べちゃ、べちゃと。
産卵に来たばかりのウミガメのように重い身体を引きずってその便りのところへ向かう。
ずる、ずる、ずる。足だか腕だか分からないところが少し膨れて痛む。
じゃぶり。という音と共に小瓶をつまみ上げたならば…そこには手紙の姿があった