魔法、知ってるんですね。すごいなあ。ボクが知ってる限りでは、ボクの世界には魔法なんて存在してなかったから。
それじゃあボクたち、別の世界の人間同士ですね、きっと。
[まるで夢物語のようなことを喋っているという自覚はあったが、事実なんかそんな感じのことが起こってそうだから。
まあ魔法がある世界だし。何が起きてもおかしくないよね。うん。少年はそんな気持ちですべてを受け止めていた。
硬く、途切れ途切れだった少女の言葉は、少しずつ、なめらかになってきたようだった。>>20
そして少女は、少年の問いかけに、うんと頷くと、肯定の言葉を返してくれた。>>21]
そうなんですか。
本当に奇遇ですね。すごいや。
[すごい……という言葉が適切なのかはわからないけれど。こんな不思議な境遇の人間がふたり。それはもうすごい偶然だろう。多分。
見慣れないこと、不思議なことの連続で、少年のテンションは高まっていた。
いや、どうやって帰ろうかとか、この後どうしようかとか、そんなことを考えると楽しんでる場合じゃないんだけど。
それでも今は、この状況が楽しかった。]