[隣に並んで座ってなお、余りある身長差>>32。
フットマンの腰が曲がることもなければ、アリシアの背が大きくなることもないゆえに、永遠に埋まらない差だ。
フットマンはその差を見て物悲しくなるでもなく──こちらを見上げるアリシアに首痛そうだな、と思うぐらいだ。そう思うなら、やや屈んでもいいと思うが。]
そりゃあ、かわいい娘たっての“お願い”だからな。
[まるで、かつての時間を切り抜いたようだ。
それだけ、二人の姿はあの頃から変わっていない。
ただ違うのは、フットマンの軽口に眉を吊り上げる人間が、もう何処にもいないことだけだ。]