>>47 リスティリナ
[視線の主が謝罪の言葉を述べる間に男はその姿を素早く観察し、ハイティーンの少女だろうと凡そのあたりをつけた。
大人には薬でも子供の体には毒になるものは多い故、初対面の人間をこうして観察するのはもはや職業病といえよう。]
ああ。日差しに弱いものですから。
薬師へご用があるのかと思いましたが……
あなたには薬は必要ないようですね。
[着込んでいることについて日頃から用意してある言い訳を述べて。
また、健康そうで薬を買い求めているわけでもなさそうな少女の様子を見ればそこを離れようとする。
この男は広場にいる快活な青年と違い、セールストークをしようという気概をいっさい持ち合わせていなかった。
あなたがこんな薬はないか、等と問いかけてくれたならば、男はその足を止めるだろう。それがどんなトンチキな効能だとしても。]