音なく響くいつかの声>>11
「昴、そんなに乱暴に倒しちゃダメ!
ツバサ様の枝や幹まで傷ついちゃうでしょ!」
『“ツバサ様”とか、姉ちゃん訳わかんないよ……
って ひ ひぎゃああああああああああああああああああ虫!!! 虫!!!!』
「黙ってちゃんとツバサ様を支えてて!
残ってる刺とかあったら気を付けて、
でも自分で刺取ったりとかはしないで。
昴がやったらツバサ様が傷ついちゃうから!」
『だから姉ちゃんバラにツバサ様の名前つけるとか訳わかんな…… 虫動いてるし!!!! って姉ちゃんなんで素手で取れるの!?? って えっ
ぎゃ ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ』
「コガネムシ殺したくらいでいちいち騒がないで昴!
あ、こっちの根の奥にもいる……いっぱい……
ツバサ様……こんなになるまで気づけなくて……ごめんなさい……大変だったよね……苦しかったよね……」