[途端、ビクリと相手の身体が跳ねあがる。
痙攣したそれを抑え込むよう、絡ませた足の拘束を強くする。
ここから先、彼の意識浮上は無いだろう。だが、音を聞いた誰かが来ては困るのだ。
なんせ此処からは、自分のお楽しみの時間なのだから。
その行為に似合う擬音があるとすれば、ぐちゃりと嫌な音であっただろう。
今しがた閲覧していた多数の情報を、相手の記憶を一気に『かき混ぜる』
自分はウィルス等、異物を入れるような無粋な真似はしない。
だが、割られた挙句混ぜられてしまった卵は元には戻らない。そういう物だ。
……運が良ければ違ったかもしれないが、大抵は戻らない。
殺しはしないが、生かしもしない。
現在と過去の区別が曖昧となり、現在の自分や存在すら認識できなくなるだろう。
依頼主には、『頭』を覗いて来いとは言われたが、壊せとは言われていない。
だが自分の手にかかれば『そう』なる。
仕事兼趣味のようなものだ、人が壊れる様が楽しくて仕方がない。]