[一つ。
この同居人たる人間は、ヴィブラトと初めて出会った時点で、
既に “永遠を生きる夜の魔物” の信奉者だった。]
「自分、何時だって心配しているんすよ!?
ヴィブラト様……げふん、ヴィブラトさんに
悪い虫がついたりしないように〜って!!」
よりにもよって「娘を守るパパ」気取りか?
それとも「よく保存された屍」の保護に勤しむ
博物館員の心算で言っているのか?
……どちらにしても笑えない冗談だぞ。
「は、ハイ……すみませんでした……」
[そしてこの男の吸血鬼としての素性も知る今、
「一般の人間に吸血鬼の素性を暴かせない」
という建前で、見ず知らずの人間を安易に
泊まらせることに、逐一難色を示していた。
あくまで、建前だ。]