わ、雰囲気変わった……。
[ピギーはそれらの店の横を通り抜け、裏側へ行く。
野良猫とすれ違いながら早足で追いかけると、その先には表通りとは全く違う色が広がっていた。
石造りの建物たちは高さがあるとより重々しい。
少しでこぼこのある石畳をブーツの底に感じながら、物珍しげに建物を繋ぐアーチ状の橋を仰ぎ見る。
倉庫と繋がっていれば便利だろうが、下を通り過ぎるときにほんのり早足になりかけるのは仕方ないだろう。
この世界ではあまり地震は起きないに違いない、と思う。
曇り空の霧雨の似合いそうな景色とも過った。
でも薄灰色の屋根越しに見える青空はより映えて見え、窓からのぞく生活や鉢植えの花はあざやかだった。
道を通り抜ける風にそっと深呼吸をする。
ひるがえるワンピースの裾をさばき、足を踏み出した。
そうして、ピギーの家はそのうちの建物のひとつ。
住人のように気配を薄くし存在していた。]