[ 私は見てた。私は視ていた。 貴方は夜な夜な大人の目を盗み、 私が人間みたいに動けるように魔法をかけてくれたこと。 嬉しかった、──叶えてあげたかった。 悪い魔女が街を燃やし、たくさんの人が消えても 私たちの夢は潰えないと信じていたの。 貴方が、魔法を完成させた夜。 本当はその時すぐに笑って話しかけるべきだったんだ。 でもほんのすこし、思ってしまった。 ────明日の夜。 いつもみたいに忍び込んだ貴方を笑顔で出迎えたら どんな顔して、驚いてくれるのかな、って。 ]