[舞台は、カメラを通さず、目で見る作品である。
オペラグラスなどを用いれば近づくことはできるが、
今度は舞台全体を見渡すことが叶わなくなる。
根岸寧子は小さい。身長は146cmで止まってしまった。
来年の3月には27歳を迎えてしまう身、
成長期を期待する時期はとうに過ぎ去っている。
根岸寧子は小さい。
舞台から遠く離れた席から見ればきっと豆粒だ。
だから彼女は身体を大きく動かした。
間近で見れば些か大袈裟かもしれないが、
演者と観客との距離を考えればこれくらいでいい。
幸運にも身体を動かすのは得意な方だ。
主演の邪魔はしないように、けれど印象に残るように。
原作と舞台の一助になるように。一員になれるように。]