荼毘葬送 オクリビ

（　こんな私が、アイドルになるなんて、できる？　）


[ズィーがああ言ったあの時>>28は、アリシアを見やりながら「それもいいわね」なんて真顔で呟いたりもしたものだったが――。
　エラーを誘発しかねない「一般人らしい」思考を、一度遮断する。]


　……、ちょっと、行ってくるわね。
　デビュー公演の前に、やることがあるの。


[文字通りの意味でも比喩上でもまだ「きれいな手」のオクリビは、誰に告げるともなく歩き出す。ズィーがその場にいたなら、この声も届いていただろう。
　雨に濡れたままの薄汚れた地面を、ぴちゃり、ブーツで踏みしめながら。**]