[もし自分の夢が叶ったら?
祖父と同じ景色を見るという目標が無くなった時、
自分は“歌が好き”だと言えるか?
誰かと切磋琢磨し共に歌う楽しさは視野外で、
ただ選ばれることに執着する自分に気づいてしまった。
気づいて、迷いが生じる。それで本当にいいの?と。
3人みたいに純粋な気持ちで向き合っていないと心が感じた瞬間、練習の度に迷いと躊躇いを揺らがせたままレッスンに向き合う日々となる。
常に動揺の波が押し寄せ心の錨を下ろせないまま時間だけが過ぎていく。
結局一度も選ばれなかったのも頷ける。
技術や努力の前に、心の時点で負けていたも同然だ。
今思えば、きっと、これでよかったんだ。]