ー 五月・校舎前花壇 お供えの正体? ー
[その髪を最初に見たのはいつだったか。>>0:369
校舎前花壇に意識を向ける人間は少ない。
美化委員の真面目な後輩か、そうでなければライバル意識でも持っていそうな園芸部の連中がたまにちらりと覗きにくるくらいだ。
大体の顔は認識しているつもりなだけに、記憶にない明るい髪はいっそう目立った。
しかも記憶はないくせに、何故か印象だけがある。>>0:294
どこかで見たような、そんな奇妙な違和感だ。
声をかけるか迷ったが、彼女は誰かを待っているようにも、悪戯を考えているようにも見えない。
ただ、ごくわずかな時間。そこに留まって花壇に意識を向けているようだった。
荒れた形跡のあった場所を、ただ眺めやっているように見えて。]
こんにちは!そこの花壇にお供えしてくれたのって、君だったりする?
[笑顔を浮かべて、問いかけてみる。]**