[そしてこの晩も、この吸血鬼の信奉者たる人間は、 フードパックを空にしてスプーンを置いてから、 テーブル向かいの椅子に座した吸血鬼の元に 自ずからその身を運び、その身を寄せて、囁く。]「ええ、いいんですよ。 あなたには、僕がいるんですから」 …………はあ。[文字通りの熱と湿り気を帯びた人間の吐息に対し、 ヴィブラトが零す溜息には大して色気も何もない。 この吸血鬼ももはや慣れた調子で、差し出された首筋――]