─ 回想:ラヴェーナ ─
[ シュクルと同じく、まだ幼い頃から知っている子の一人。
私には使えない魔法を駆使して店を営む、
錬金術師の女の子が居た。>>51
私が祖国に帰り、戻ってきて初めてで店を開いた時に
飛びついてこれはなんだと聞いてくれた彼女は、
はじめて菓子を差し出したその時から私の店の常連だ。
あの時はたしか、餡の入った白い大福を手渡したんだ。 ]
それはな、ダイフクというんだ。
私の生まれた国に伝わる菓子で…幸せを呼ぶと言われている。
[ 初めて出した祖国の味を、
美味しい美味しいと喜んで食べてくれる彼女に
私は顔を綻ばせながらその菓子の説明をしたんだったか。
店に並べる商品を新しくする度に、新作が出来たよ。と
彼女の店に差し入れに行くようになるのにも
あまり時間はかからなかった。 ]