――10日経って・朝――
[最近はさすがに寝起きすぐ顔は洗っていたが、今日はのろのろと髪を櫛でとかし、一枚頼んだはずなのに数枚用意されたワンピース>>46から少し考えて選び、革のブーツの紐を結ぶ。
準備といってもこれくらいのものだ。
そうだ、鞄は……元の世界のトートバッグでいいか。
特徴的な柄や文字が書いてあるわけではないから。
ファミレスのバイト服はクローゼットの隅に押し込み、草花の図鑑と街の地図に筆記用具を入れ込む。
財布は意味がなくても一応入れた。
こちらに来てすぐ自分で電源を切ったスマホは枕の下に、立ったまま窓から外を眺めピギーを待っていた。]
えっ……
せっかく待ち構えた日に限ってそっちなんだ……。
[ドアの方から音>>56がしてついぼやく。
ちょうど指輪を手で弄っていたから届いたかもしれない。
できてるよ、と声を返し、草原色のワンピース姿で出迎えた。*]