庭
[白薔薇が辿り着いた先は、静かに深雪降り積もる庭園でした。
幾らか前までは小雪もまばらに降っていましたが、そこに刻まれていた人型の穴も足跡も、今は降りしきる雪に隠されてしまった頃でしょうか。
それでも雪を固めて作られたものは、きちんとその形や飾りを留めているようです。
帽子とマフラーを着た大きな
雪だるま >>1:74>>1:78、その隣に小さな赤い眼の
雪うさぎ >>1:89が、白薔薇の目には捉えられました。
そして大きな方の雪だるまの前に、この雪降る中にあってはあまりに薄そうな浴衣姿の若者が、膝を抱えて丸まっていました。
今の白薔薇の出で立ちも、テレビのバラエティ番組や個人SNS上の写真でのツバサ様のようなカジュアル寄りの格好で、雪夜においてはひどく寒々しいものでしたが……。
人の形を取りながらもホモ・サピエンスそのものではない白薔薇は、特別己の出で立ちを気にする素振りなく(流石に身体は幾らか震えましたが)、黒革のブーツで庭園の雪上に足跡をつけていきます。]