――そして――
[数日後、私は借りた小さな部屋に居を構えていた。
就職先はすんなりと決まったし、新しい生活が始まる事となる。
新しい仕事はとある老人ホームでの給仕と清掃、老人たちの身の回りの世話だ。私の生活費をさっぴいた賃金はマイケルに送金される。
私の記憶は……そのまま、消されずに、在る。
あの後、マイケルは私にこう言ったのだ。
『お前の中に父さんがいるのなら、母さんも一緒にいさせてやらないと可哀想だ。だから、記憶の消去はしない。そのかわり今すぐこの家を出ていってくれ。
じゃないとまた、泣いたり怒ったりしてしまうから。』]