[騒ぎの起きる方向に向かう。
道中、何人かの看守を無力化してきたが、
そのいずれにも気付かれず、後ろを取れた。
無意識の内に発現した保護色のお陰のようだ]
あ、……あ。レイル。
それと、ええと“Harrikoの女”。
[囚人たちにそう呼ばれていたのを聞いたに過ぎない。
それが本名かどうかも知らないが、
片目に包帯を巻いた女に見覚えはあった。]
生きていたか。よかった。これからどこへ?
[少々気まずそうに声を掛ける。
かき集めてきた服は、大分ボロになっていて。]
[レイルが話していたお嬢様とは彼女のことだろうか?
思い返せば、この推測は間違っているとすぐに気付く。
相手が誰であれ。
今嫌われてしまうことは、避けねばならなかった。]*