……ん、分かった。
[そして、向き合わなければいけない話となれば。>>56
唇を嚙み締めて零れた『会いたくないわけない』
それに頷いた僕は、持っていた帽子をぽす、と被せてイノリくんの顔を隠そうとする。
震えながら紡がれた本音の言葉、初めて聞いた着飾られていないイノリくんの心の叫び。
感情をコントロール出来ずに涙を流してしまうかも知れない事を予期した僕は、帽子で隠したら良いと被せた帽子越しにその頭をぽん、ぽんと撫でただろう。]
亡くなった子達と会える機会は、きっと此処だけだからね。
ぶつかり合って、仲直りするのも青春さ。
[続く言葉『不安なままでいるよりは、傷つけられた方が良いのかな』には相槌を打ちつつ。
常にその選択が正解という訳ではないとは思うけど、その良し悪しすらも経験が無かったこの子には難しいかも知れないね。
それなら、少なくとも執った選択に後悔を残さない様に僕は見守っていようと心の中で決意を固める。]