深くは聞かないけど、そっか……。
[女の子達と違って声変わりを迎えればいかに自分が続けたいと願っても、規則により卒団。
それ以前にアレウスの中では
選ばれ続けない自分への消沈もあった。
夢への挑戦すら投げ出したくなったことも、何度か。
ヴァネッサに仲間意識を覚えたのも彼女の涙が自分と重なったから。
ヴァネッサが言葉に込めた意味と
自分の発想は違うかもしれない。
けれど彼女がナタリーに向けた言葉を自分でも反芻する。
“いつかわかる”と告げる側に、自分がなる可能性が頭によぎった。
自分に残る砂時計の砂が、一気に落ちる幻聴を聞いた気がした。*]