[──数瞬。辺りは血の海になった。酸性雨と違った雨が降った。ぼたぼたと、誰のものかわからない血をフットマンは自身の服から絞る。歳の割には滑らかな暗い赤毛に混ざって、鮮やかな赤が伝い、滴っている。相手がまだ生きているのか死んでいるのか、フットマン自身は興味がなかった。そこまで確認する気分じゃなかったから、ほったらかし。血まみれになったのも、襲撃者の量に比例したと言える。足下に散らばった薬莢を蹴飛ばしながら、フットマンは懐から葉巻を取り出して、吸い口をフラットカットしながら歩く。]