で、結局、その店では作業ロボ向けに烏色の羽飾りの帽子を仕立てて貰うことにした。
……いや、「作業ロボ」なんて非人格的な語で呼ぶな、と“本人”から言われてるんだった。あのエンジニアと“女将”による魔改造を受ける前には、こんな文句言われたこと無かった気がしたんだが……。
という訳で訂正する。俺のもとで物資運搬等の作業に携わるメカ「クロウ」は――この愛称も“本人”が名乗りだしたものだ――この帽子を大層気に入ったようで、今日も被って来ている。
「あークロウ、今ちっと手紙書いてるところだから、
一緒に店見て回るんは後にさせてくれ。
ってかこのバカンスも、明後日には終わるかもなんだ、
ちゃんとモード切り替え――…簡単にできるんだったな、お前さんは」
いかにも人間臭げな調子で「ソノトオリ!」と合成音を上げるクロウを傍らに、俺は宿の一室で、そのクロウ当人(人じゃないが)に関わる手紙をしたためていた。