──何年も後──[そこは海の見える街。最近線路を伸ばしてきた蒸気機関車が、近くの駅に到着する。扉からひらりと、人形が飛び降りる。ふわっとういた帽子を片手で押さえた。遠くに少しだけ見える海を見つめながら、人形は出発前に受け取った手紙を握りしめている。] おーい![待ち合わせていた人にか。それとも街にか。あるいは海にか。人形は明るい声でそう叫んで、手を振った。そうして、駅から外へと足を踏み出した。]