とある束の間の一日
[暫くの間、ボクはトループに滞在することにした。”里帰り”としての目的は果たしているのでこのまま帰ってもよかったけれど、この街並みをもう少しだけ堪能してもよいと思ったのだ
―― 今はまだ、このトループを舞台に戦闘が起こることなど予想だにもしていない>>#1幼い頃裏路地の住人だったころは、表通りに行けば汚い臭いと足蹴にされた。なけなしの金を持って買い物に行けば店の主人からはあからさまに嫌そうな顔をされた。
でも今はどうだ、店に行けば笑顔で店主が出迎えてくれる。お嬢さんには此方がお似合いですよだとか、今の季節のおすすめはこれですよだとか、同じ店とは思えないほどの対応で出迎えられた。あれもこれもおすすめされて、
*レアチーズケーキ*に
*ホットケーキ*、
*きんつば*まで抱えたボクの姿があったはず。
野外ステージでは、ライブも開催されていた。音楽など普段聞くこともないボクは、なんとなしに足を止め、その音量やら熱気に圧倒されて、何曲か聞いて立ち去ることにする。フレンチエメラルド…検索したらヴァルハラ出身のグループらしい。
ボクは大食らいとはほど遠いのでびっくりする注文の仕方はしなかったけれど、食堂で
*担々麺*を食べている姿を見かけることもあったはず。
トループに滞在している暫くの間、ボクは文字通り束の間の平和を思う存分堪能していた **]