[代わりのパーツであると。差し出されたジャンク一歩手前の箱を静かに受け取る。だが彼が次の手当てに向かう前に、その腕を強く掴んで引き留めた。] 『―― 、 、 、 、 、』[音の伴わない声。唇を読むのならば、「ありがとう」とゆっくり発したのが分かっただろう。唯の一言が出ないことが、こんなにも恨めしいとは。用事が済めば手を放し、忙しない彼を見送り、疲労のまま医療室で眠りに落ちる。意識は暗闇に沈み、傷口の放つ熱に溶けてゆく。*]