まあ、一つだけここで言うとすりゃ……
俺はなるべく、どんな時だって、努めて笑っていようとは思ってるんだ。だってそりゃそうだろ、愛想の悪い商人よりはご機嫌な商人のほうと付き合いたいってもんだ。
どこぞの(それこそ、このパンパス・コートの)お貴族様であれば、眉間に深く刻まれた皺すら他者を魅了する美貌や魔性になり得るかもしれんが――俺はそういう手合いじゃないしな!
あの耽美なコートでも着りゃ違うんじゃないかって……いや、だから俺の趣味はああいうんじゃないんだよ……。
それに笑ってりゃ、顔に引きずられる形で心まで明るくなるってもんだ。なあ、そうだろ?