- 回想 -
[……持ち出して見た地図の情報に依れば、"彼女"のクニの簡易拠点迄残り600mという所。]
[戦場の真ん中で、敵に会いに行く為だけに走っている。]
[無事着けたとしても、相手の国からしてみれば自分は"攫った側の敵"であるから、仇かたきとしてその場でスクラップにされても文句は言えない。
……自らの崩壊に対する、恐怖を覚えないと言えば嘘になるけれど。
今は自分が死ぬ事より大切な"お願い事"の遂行中だったから。
邪念を振り払って自分より短い足で懸命に走る彼女の手を引く。]
[戦火の中、ヒト質の手を引いて敵のヒトモドキに……
彼女のクニの兵士に、託そうとしていた道中だった。]