[ヴァルハラ兵の口に布を詰めれば、彼女は即座に反応してヴァルハラ兵の身体を押さえ込むように固定した。判断が早くて助かる。
新人だとこうはいかない。
加減を間違えて放り投げられるやつもいるし、患者に新しい骨折部位を作ってくれるやつもいる。
手早く処置を済ませていく。
まさか、ぐるぐる回っている目を見て、目が回らないのだろうかと思われているとは思いもしなかったけれど。人工知能がなければ治療どころでなかったのは確か。
たぶん、彼女が補佐をしながら、こちらの動きを見ているのだろうというのはわかった。技術は間近で見て触れて、覚えるのが一番いい。そして、そうしたいという気持ちも、男にはわかる。
状況が状況だけに、ゆっくり処置を見せている暇はないが、できるだけ見やすいようにはした──つもり。]