[──船は脆くも崩壊し、波の中へと飲み込まれていく。
それを救命ボートの上から見つめる三人と子供たち。
悪の七味、いや小粒でぴりりではない一味の魔の手から、
囚われていた子供たちはヒーローの活躍により無事解放された。
『ありがとう、お姉ちゃん!おじいちゃん!…それと、あの。』
フルフェイスヒーローとカフェマスターはあっという間に子供たちに揉みくちゃにされる。しかし、スーツ紳士だけはその近寄りがたい雰囲気にぽつん、としていた。彼だってヒーローなのに。
だがそこへ歩み寄る一人の少年。おずおずとした様子であるが、微笑んで。
スーツ紳士の袖をそっと小さな手で握る。
『おじ、さんも…助けてくれて、ありがとう。』]