[深々と降る雪だけが動く世界。 物音のないそこに声が響き>>61 ぴくりと体を揺らした。 先輩、と。 今ここで呼ぶのは茶々丸だけ。 だというのに、その声はあの元気なものではなく 落ち着いて艷やかとした、どこかで聞いた声。 もう一度、今度は名前を呼ばれる。 それでも、今顔を上げたくなかった。 今、顔を上げてしまえば。 なにを喚き散らすかわからない。]