裏通り
[白い花を瓦礫の上に添え、しゃがみこんで手を合わせる。こんなところにアイツがいねえのは分かってる。アイツと最後に分かれたのがここだった、それだけのこと。
この町には葬儀屋だのなんだのが沢山蔓延ってやがるが、そんな奴らの手さえ借りられなかった。そこに肉体は、無かったのだから。そしてそこらに埋められてないことだって、分かってる。“不都合なものは処分された”。この目で見てなくとも想定の範疇である。]
儘ならねェよなァ
[それは独り言だったか、誰かへの語りかけだったか。男は暫くそこを動けないでいる **]