>>52>>54ヤワタ
……ううん、なんでもないわ。
変わった物を持ってるのね……。
あなたの他にも、これを持っている人はいるの?
[魔力の予感のようなものを見咎めた際の、彼のその反応は、その香りについては何も知らなさそうな様子だった。それはそうとして、その不思議な箱について更に質問を重ねつつ]
……ごめんなさい、別にお金がなさそうで空腹そうにしているのを笑ったわけじゃないのよ。
……そうね、お手伝いついでに、あなたが面白そうな人だったら、何か絵も描いてもらおうかしら。食事とは別に、報酬は払わせてもらうしね。
[そう言って歩き出そうとしたところに、彼が手を差し出した。なるほど、迷子になりそうな子供に見えているのかもしれないし、そうでなくとも慣れない街の人ごみではぐれぬよう気を遣ってくれたのかもしれないが、初対面の異性に手を差し出すような甲斐甲斐しさも持っているようだ。]
スブラキ……? 聞いたことないな。
どんなお料理なのかしら。
いいわ、そのスブラキのお店にしましょう?
[そう言って彼の手を取って、ふっと笑いかけた。これで目下のところは次の目的地に確実に辿り着ける、と思えば、既に一仕事終えたような満足感があった。]