― 12月 ―
[ケン・ドリックはこの国の人間ではない。
小学6年生の時に父親の仕事で来日した留学生だ。
誤解と不足はあっても、意思疎通の適う程度に
言語を会得して、この国の文化にも慣れてきた。
いつか、が来ることを忘れかけるくらいに。
そして大体において、その時は突然やってくるのだ。]
年が明けたら、国に戻る。
[海藤と、数人の交流ある級友には告げた。
冬の、弱弱しい太陽の下、子供の頃見上げた空は
確かもっと濃い青だった気がするが。それでも、
どこにいてもあまり変わり映えのしない空のことを思う。**]