或くる日若しくはまたいつか
[あの号令が聞こえて直ぐか、それとも数日経ったあとか。嵐の前の静けさか、まだ嵐は侵攻中かはわからないけれど、それでもまァ人間生きてりゃ腹が減るんだ。腹を満たすにゃ金が要る。こういう時だけ人間じゃない金のかからない身体を羨……むことはないけれど、金がかからねえのはいいなと思うこともある。
戦乱真っ只中のあの日よりも静かになった裏路地で、銃声や悲鳴の代わりに聞こえてきたのは、誰かの大きな声と穴を掘る音。成程、件の穴掘り帝国か、と。偵察偵察ッと勝手に理由づけて興味本位で足を延ばす昼下がり。]
相変わらず煩ェなァ
[相手がこっちを知ってたかは分からない。こっちだって相手は「煩い」という認識しかないのだから、多分恐らく初めましてだろう。だけど、きっとそんなことは二人の間でどうでもいい
ぽい、と放り投げてやったのは屑みてェなパンの欠片がたくさん入った紙袋。
堅ェパンを売りつける表通りの店があってな、糞まずいクセに、糞安いんだ。あんなの直ぐにつぶれるに決まってる]