どうか、この子たちが、
あなたに愛に満ちた花を咲かせてくれますように。
[いくつかの鐘の音が鳴り響いた後、“白雪姫”とも“台座の茨”ともつかぬ不思議なバラの種子が、柵の内側の土の下に埋まります。
ええ、“白薔薇の写し身”として在ったこの白いバラも、異なるバラと融け合って成立したただの“ばらの子”。陽光の子が、花の色を問うことなくそう呼んでくれたように。>>58
台座の品種であるノイバラは白い花をつけることで広く知られますが、時にはピンクの花を咲かせるノイバラもあるのだとか。
この冬の冷たい土の下で眠り続けることで、春の頃には芽吹きへと至るでしょう。]