[ヘロンは己の足元を見下ろす。
――頸椎の動きに微かな違和感を覚えたものの、
その首の関節自体の変化は視認できない。
ヘロンの視覚は確かな距離感を掴み、夜を彩る電飾に照らされる地面の硬さを察する。
――その器官が虹彩あるやわらかな双眼でなく、
どこか箱庭のサンルームめいた外装越しに
光を知覚するカメラアイだとも自覚しない。
地面の硬さは、ベルト付きの黒いレザーブーツ越しにも知れる。
黒いレザーのスキニーは、何故か緩んでいるように見えたが……。
――だってレザーのボトムスが覆い隠すその両脚は
人間のそれより遥かに細くなっているのだから。
それこそ、鷺の脚のように!]