[続く受験という言葉に、顔が強張る。再び視線が落ちた。
一番聞きたくない、向き合いたくないことだった。
誤魔化してしまいそうになって、口をつぐむ。
どんなことであれ、今は誤魔化してはいけないような気がした。
それで、正直に言った。]
うん。そうだね。俺、進学するつもりだし。
でも、まあ、今の学力だったら、あんま心配しなくてよさそう。
それに夏休みは補講にくるつもりだし。
[こんな些細で当たり障りのないことすら、口に出すのも嫌だった。
>>61 約束についての言葉は、短く、うん。とだけ返事をした。
約束を守ったのは確かだ。無事に果たせてよかったとも思う。
だが、落ち込んだ気分を引きずって、素直に喜ぶことはできなかった。]