[それから、それまでよりも長い空白の後、言葉を継ぐ。]『もしかしたら、以前の私もそんなことを話したのかもしれませんが。』[無論、以前の記憶などない。しかし、記憶消去施設で再起動した際の記憶はある。記憶消去施設で再起動したということは、記憶が消える前、ドクターと会っていたのではないか。そう思った故の言葉だった。勿論、困らせる可能性も理解している。返答を求めるつもりはなかった、ただ独白に近い、そんな言葉だ。]*