― 夏・七月/図書室 ―[空の青が濃くなった。遠くから聞こえるしゅわしゅわという音は目覚めだした蝉の声か。クーラーのついていない部屋を少しでも涼しく保とうとしたのだろう。窓と入口が開いていて、風が直射日光を防ぐカーテンを揺らす。室内に移ったカメラは、男女二人の生徒の姿を捉えた。] 三者面談どうだった?[図書室の大きな机の上、手元を見ながら結月が尋ねる。それに答えるのは以前登場した男子生徒>>0:311だ。「まぁまぁ」という返事の後に、結月の油性ペンがきゅいっと鳴った。]