――結局は午後も欠勤――
[リェッカからの差し入れ――窓から直に放り投げられた、夜光鱒のサンドイッチ。それを平らげてからも、シェルタンは資料館には向かわず自宅に留まっていた。
昨夜の寝不足がまだ響いていた、という事情も確かにありはしたのだけれど――。
「いつか」の願い、「いつか」の夢。
ふたつの手紙のことを思いながら、「舞台役者シェルタン」を演じる生命体は、ひとつの覚悟を決めてペンを執る。]
《 ……いや、そんなバカな。
ニュースで見たサインとも、
捜査令状の署名とも全然違う。
まさかこの子が、…――― 》
[あの革装丁の日記帳を一瞥してそう惑いながらも、ペンを止めることはなかった。]